手術後、私を待っていたのは想像以上に長く、そして地道なリハビリの日々でした。
傷の痛みよりも、動かない足、制限された生活。「早く元に戻りたい」という焦りと、「本当に治るのだろうか」という不安が入り混じった約7週間の経験を記録します。
手術翌日からのリハビリスタート
手術から1日後。まだ全身麻酔の影響が残る中、いよいよリハビリが始まりました。
最初のリハビリは、思っていたより地味でした。派手な運動ではなく、足首周りや足の指を動かす、筋トレをしたり、アイシングをしたり。「こんなことで治るのだろうか」と思うほど、基本的で地味な動きの繰り返しです。
傷の痛みは日に日に減っていきましたが、足首は全く動きません。
アキレス腱を切った足首は、まるで別の物体のような感覚。
医師や理学療法士の指導の下、毎日病院の診察時間に合わせてリハビリを受けます。多い日で1日2回、少ない日で1回。約1週間の入院期間中、毎日が「足を動かす練習」と「痛みと向き合う時間」でした。
日常生活が「リハビリ」になる現実
退院時、私は装具を装着し、松葉杖を握って病院を出ました。
「やっと退院できる」という安心感は束の間。家に帰ると、現実が待っていました。
お風呂に入る。トイレに行く。食事をする。寝返りを打つ。当たり前のような日常生活の全てが、大変になっていました。
最も困ったのはお風呂です。装具をしたまま入るわけにはいかず、装具を外す。その時点で足は支えられません。家族に支えてもらいながら、片足でバスタブに入る。浴槽の中でも、足を動かさないように、ただじっと。出るときも同じです。何度も転ぶのではないかという恐怖心がありました。
トイレも同じ。便座に座るまでの移動、座った状態での足の置き方。「再度の断裂だけは避けなければ」という医師の言葉が頭から離れません。何も起こらないことが当たり前の動作が、今は全て「気をつけるべき動作」に変わっていました。
松葉杖から装具へ:7週間の長い経過
退院当初は松葉杖が欠かせませんでした。
右足が使えないので、左足と上半身、そして松葉杖だけが頼りです。
しかし、毎週のリハビリと医師の診察を受ける中で、少しずつ変化が起きます。数週間経つと、松葉杖なしで装具だけで歩けるようになってきました。その瞬間は嬉しかった。しかし、同時に責任も感じます。「装具がなくなるまで、絶対に無理をしてはいけない」という医師の言葉が常に頭にありました。
完全に装具が取れたのは、手術から約7週間後。この7週間という期間は、思った以上に長いものです。
その間、右足の怪我だったので車の運転ができません。仕事の送迎は会社の上司にお世話になり、必要な買い物や、病院への通院も、全て家族に頼らなければなりません。雨の日は特に気をつけました。装具が取れた後も、滑ってしまうことへの恐怖心は消えません。「ここで再断裂したら、また手術。また入院。また7週間。」
そんな悪循環を考えると、慎重になるしかありませんでした。
自宅での工夫と地道なリハビリ
退院後、私のリハビリの主戦場は自宅になりました。
足はむくみやすくなっていました。そこで、毎日足を上げてアイシング。テレビを見ながら、足の指を動かす。医師の指示に合わせて、少しずつ筋トレを増やしていく。これらの地道な作業の繰り返しです。
同時に、週2回のリハビリと週1回の診察を受けていました。経過に合わせて、その回数は徐々に減っていきました。
家の中の移動には、キャスター付きの椅子を活用しました。両足で立って移動するのが難しいので、椅子に座ったまま移動する。一見すると簡単に見えるかもしれませんが、バランスを保ちながら移動することは想像以上に大変です。
また、常に意識していたのが「左足への負担」です。右足が使えない分、左足に全ての体重がかかります。そのせいで左足が疲れ、痛むようになることもありました。「左足を傷めたら、本当に動けなくなってしまう」という恐怖心から、できるだけ左足への負担を減らすように工夫しました。
家事も制限されました。料理をするために台所に立つことが出来ません。洗濯物を干すことも出来ません。掃除も出来ません。
「今までこんなことが当たり前に出来ていたんだ」という当たり前の有難さを、初めて痛感しました。
この時期のまとめ
この入院から退院、そして装具が取れるまでの約7週間は、私にとって本当に長い期間でした。
傷の痛みよりも、心の痛みの方が大きかったかもしれません。
「本当に治るのだろうか」「また運動ができるようになるのだろうか」そんな不安を抱きながらも、毎日毎日、地道なリハビリを続ける。
その先に、装具が取れ、松葉杖が不要になり、そして日常生活が少しずつ戻ってくる。
この時期を乗り越えたことで、私は初めて気づきました。
「健康」は、本当に大切なものだということを。そして、「回復には時間がかかる」ということを。
装具が取れた後も、まだ完全復帰までの道のりは続きます。次の記事では、その後のリハビリと、最終的な運動復帰までの過程をお伝えします。

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